久しぶりの倒産用語集です。
倒産にまつわる用語を、倒産経験社長の独自目線で解説しています。
リスケとは?
一般的にも使われている言葉「リスケ」ですが、通常は「予定変更」とかの意味で使われる事が多いと思います。「今日用事出来ちゃったので、夜飲み行くのリスケお願い」とか?正確には「リスケジュール(reschedule)」、予定変更とか、予定の組み直しとかの意味ですね。
会社経営者だったりですと、このリスケは通常「銀行への返済がキツくなったので、リスケの相談」みたいに使われる事が主です。つまり、返済の見直し、毎月の支払金額の変更ないしストップする事など。
倒産過程で通る道
経営が苦しくなってくると、返済も苦しくなってきます。毎月の売上が例えば1,000万、経緯支払などが1,000万、経営的にはプラスマイナス0円でも、返済が100万円あれば、その分が毎月目減りしていきます。そこで、新たな融資を受けてマイナス分をカバーしますが、それによってまた返済額が増え、利息の支払いも増え、と、悪循環していきます。つまりは自転車操業の状態です。実際に私もそうでした。
「借りれるときに借りておけ」は嘘?
私が会社を始めた時、借入もなく、無借金経営で2年ぐらいやってました。1年経過したあたりから、銀行がやってくるようになり、お金を借りてくれってね。で、言われるがままに取引を始めたのが最初のきっかけです。
当時、先輩経営者で倒産経験のある方から「お金は借りれるときに借りておけ」という話をされました。経営が苦しくなってくると、決算書も悪くなり、借りたくても借りれない。ただし資金はあるに越したことがないから、調子の良い時、借りれるときに借りておいた方がいいよって話です。
その後、売上も順調に増えて行き、銀行も信金から都銀、メガバンクまで、色々な銀行がやってくるようになり、どんどん借りて資金を手元に置きながら、事業も拡大していきました。もう銀行は、会えば「借りてくれ」のオンパレード、新規の銀行も来ては「借りてくれ」のオンパレードですよ。確かに今思えば、銀行からの借入がなければここまでの規模(年商10億超)までは行かなかったなとは思います。
ですが逆に、身の丈にあった事業規模でやっていれば、こんな形で会社を閉める事もなかったかもな、とは思います。倒産に至った過程で、ある銀行マンにも言われました。「貸しすぎた事も経営悪化の要因でしたね」と。10年以上黒字で、売上も常に上昇していましたので、銀行からすると「おいしい会社」だったのかもしれませんね。
個人的な結論から言えば、「借りれるときに借りておけ」は、とても危険です。
リスケ相談
前置きが長くなりましたが、いよいよ経営が苦しくなってきた時、当時はすでに自転車操業でした。次のつなぎ融資が引き出せなかった時点で、資金ショートする事が確定しました。もちろん、ギリギリまで色々な銀行には打診はしてましたが、売上に対しての借入額の割合もかなり多く、最終全ての銀行に断られ、いよいよリスケが現実となってきました。
ちなみに、今までは「こちらからお願い」する融資は受けた事は一度もありませんでした。色々な銀行とお付き合いがあったので、大体2-3カ月に1回は新規融資、追加融資の打診を受けていました。なので、必要になったら、その打診に対して、「いやー、別に必要ないんだけどね」感を伝えつつ「打診を受ける」形で融資を受けていました。
これだと審査もスムーズで、かつ担当営業マンが「必要でお願いした融資」なので、行内でも色々動いてくれるのか?ほぼ100%実行されてました。かつ、利息などの条件もこちらの融通を利いて頂けますね。
ところが、借入残高が年商の3か月分を超え、4か月近くなってくると、銀行からの打診も徐々に減っていきました。「追加でお願いしたいんですが、ちょっと借入比率も増え気味ですので、もう少し全体の借入残高が減ってからですかね」といった具合です。
もう、どこの銀行も同じような線引きがあるのでしょう、同じような対応が多かったと思います。とはいえ、繋ぎ資金も必要なのでこちらから融資を相談すると、「とても難しいんだな」という事は当時実感しました。今まで相談した事のなかった会社だったので「え?どうしたの、大丈夫か?」と不安になるのでしょうね。
今思えば、この時期がターニングポイントであり、案高比率が増えるまでに手を打てなかった事が失敗の原因のような気もします。理想を言えば、ある程度手元資金が必要な業態であっても、借入比率は売上の2か月分前後で推移させるのが懸命だったなと思います。私の会社の場合、資金があればあるほど売り上げも増やせたので、売上と借入を同時進行で進めて来ましたが、やはり一気に駆け上がると色々なところでひずみも出るので(当時はそんな事に気づく事も出来ずでしたが、、、)、会社をしっかり成長させるのであれば、どこかで定期的に一息入れて、半年とか1年とか充電期間を作るのって大事だったのかもしれませんね。人材、設備、資金状況、社内体制、経費見直しなどなど、調子の良い時ほど一旦立ち止まって見直して改善し、その上で再度上を目指していくようなスタイルでしょうか?どんなに順調でも、というか順調だからこそ見落としてしまうような社内のバグがあるはずで、それを消していきつつステップアップしていかないと、私の会社のようにある時点で急激に一気に崩れるって可能性もあると思います。10年黒字で1年2年で倒産ですのでね・・・ちょっとした教訓でした。
さて、当時、毎月の返済額は1,000万ぐらいありました。売上、仕入がトントンでも、毎月1,000万が消えていく状態です。時期によって仕入れが膨れる月もあったので、そういう月は数千万という資金が目減りしていました。黒字でも目減りです。返済と仕入資金で。今思えばですが、あの時すでに、、、って感じですね。もちろん、逆に仕入が少ない月は数千万という資金が増えるんですけどね。ただ、この波がある分、目減りする月でも余裕を持って乗り越えられるだけのある程度の貯えが必要なんですよね。
リスケ相談の切り出し方
さて、リスケの相談をする際、どのように切り出すのが良いのか?ま、良いも悪いもないのですが、どう話すと手っ取り早いのか?まーもう遠回しに言っても仕方ないので、銀行の担当営業に電話して「リスケの相談がしたい」と伝えれば良いと思います。恐らく、すぐに飛んでくると思います。またはすぐに銀行に行くことになると思います。ここで連絡するのは「メインバンク」です。
そして、手持ち資金が苦しい状況や、他行の借り入れ状況などを説明しながら、追加融資の相談をします。もう最後の最後のお願いってやつですね。これで追加融資が無理ならリスケという事を理解してもらいます。ま、私の場合はそれでもダメでしたけど・・・(汗)
その後、メインバンクと話し合っていく事になりますが、当然ながら他の銀行へも伝えなければいけません。私の会社の場合は5行以上ありましたので、実はこれだけでも結構大変な作業量です。そして、それぞれに「言いずらい」リスケの打診というのも、気がめいります。なので前置きや言い訳せずに、もういきなり電話して「リスケの相談がしたい」と切り出すのが一番です。事前に言っておけば相手もそのつもりでお会いしてくれますので、アポ取って会ってから言うよりも全然話はスムーズ、かつ気持ち的にも楽と思います。
最終的にはどの銀行さんも「メインバンクさんがそうおっしゃるなら」とか、「最後はメインバンクさんで融資が受けれないのであれば仕方ない」とか、そんな感じになっていきました。この段階で他の銀行があえて「融資を検討する」事はなかったですね。リスケの相談に来るような企業にお金は貸さないって、まー当たり前ですが。あ、そういえば政府系の銀行だけが、ギリギリまで検討はしてくれてました。当時は本当に有り難かったです。が、今思えば、あそこで融資してくれていたとしても、結果は同じだったのかな?少し先延ばしなっただけかな?とは思います。残念ながら。
そして追加融資を受けてある程度の期間が経ってないと、破産申請も出来ない、という訳ではないですが、融資直後の破産申請は、その融資自体が詐欺のような、破産するのが分かってて受けた融資という事に該当しかねないので、とても危険でもあります。
毎度ですが、長くなりましたので、その後のリスケの進め方や、実際に起こった事など、また続きは別で書きたいと思います。 実は1つのブログ記事を2,000文字目安でいつも書いているのですが、なんででしょうか、つい長くなってしまいます。今回ももうすぐ4,000文字で・・・
ご拝読、有難うございました。
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