倒産経験社長の実体験ブログ

経営していた会社が20☓☓年に経営破綻。負債3億円以上で会社は破算で個人も自己破算、そんな倒産を体験した元社長による実話ブログです。倒産前から弁護士介入、裁判、免責許可までの手続きの実体験、流れや出来事、生活の様子などなどを綴ってます。

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コロナの恩恵と1年後

資金繰り改善

色々とネットサーフィンしながら経営関連、資金繰り関連のブログなどを見ていたら、今回のコロナ対策によって、平常時では融資が厳しい状況でも、割と高確率で融資を受けられているという記事を多く目にしました。

私はすでに倒産して第二の人生を歩み中ですが、当時経営していた頃、同じような事もありました。東日本大震災、これによる需要縮小で、私の会社も大きな打撃を受けたのですが、当時はやはり、震災で売上ダウンした企業向けの融資というのがあり、8,000万を低金利で借りれる事が出来ました。

当時、かなり苦しかったので、だいぶ助かった記憶が強く残っています。そして、その後の返済に苦労したというか、その8,000万の負債がその後の経営に少なからず影響を与えた事を覚えています。

リスケ中の新規融資

今、コロナにより、例えばリスケ中の企業でも新規融資を受けれるケースが多くあるようですね。私がリスケ中の時では、考えられない事態と思います。私もリスケ中の融資はメインバンクに何度か相談はしましたが、全然まったく100%無理な感じでした。せめて少額でも元本返済がスタートしたら検討しましょうという感じでした。

ところが、今、それが可能だそうです。コロナに関係なく経営不振だった会社でも、融資要件に該当すればコロナ対策の融資を受けられるという事で、もはやコロナが原因か否かは関係なく、元々苦しかった企業にとっては資金繰り改善の大きなチャンスではないでしょうかね。

しかも、中には無担保、無利息の融資もあり、返済開始まで1年間など猶予するような措置もあるようで、かつ従業員の給与補助など、今は様々な延命が可能な制度が整っていますので、経営者にとってはこれを利用しない手はないと思います。

私がまだ経営していたとしても、間違いなく飛びついていた気がします。もともと苦しかった企業、やばいなと感じていた経営者、倒産が頭にチラついていた社長様にとっては、最後のチャンスかもしれませんね。

倒産経験者から

私が東日本大震災の時、特別対策融資8,000万を受けたのにも関わらず、その後、倒産してしまったのですが、こういった別枠の大きな融資を受けた後は、これを活かすも殺すも、経営者次第と思います。私のように結局破綻してしまわないようにするにはどうすればいいか?是非、計画的に取り組んで頂ければと思います。

私の場合、融資を受けれたおかげで、資金繰りが改善し、数か月を経て立て直す事には成功しました。ただ、成功したと言っても、融資残高は8,000万増えてしまっている訳で、それに対する備えが不十分だったことがその後の経営破綻の原因と考えます。もちろん今、思えばです。当時はそこまで深くは考えていませんでした。

単純に融資残高が8,000万増えている訳ですので、今までと同じ体制で同じようにやっていては、その返済分、利息分、確実にキャッシュフローは減っていくという事をまずしっかり理解しないといけないですね。もちろん私も当時は十分理解しているつもりでしたが、全然不十分だったと、今思えばですね。

失敗例

あくまで参考として書きます。私の場合の当時の8,000万、10年返済としても年に800万。利息なども入れて、おおざっぱに分かり易く説明するために、月に100万円の支出増加とします。今までの返済額プラスで毎月100万の資金を確保するためには、当時の利益率約40%として計算すると、売上ベースで月に250万の売上UPが必要になります。

では当時、250万の売上のベースアップが出来ていたかと言うと、出来てなかったですね。なんせ、経営が苦しくなって資金繰りも辛くなって借りたぐらいですので、売上アップというよりも、まずは今までの売上に戻す事で精一杯でした。

戻すためには、仕入も強化しなければならず、人員を削減していては売上アップも出来ませんので、それまでと同じ体制で、どう売上を上げるか考え、実践していくしかなかったです。結果的には1年かけて売り上げは戻り、翌年には前年7億ぐらいだった売上が8億まで伸びましたが、人も増え、経費も増え、規模も大きくなっていました。

これ、一見、良かったように感じられるかもしれませんが、売上が増え、人も増え、経費も増え、そして融資残高も増えていったのです。とても難しいですが、あの時、私はまだまだ攻め続ける経営を選択し、実践していました。大きな融資を受けて資金が潤沢になったので、売上を増やして更に拡大していく路線を選びました。

そのままの勢いで一気に売上が10億、20億と伸びて行く可能性ももちろんあったかもしれませんが、あの時、別の選択肢もあったと今は思います。対策融資で一時的に資金が潤沢になったタイミングで、一度会社を見直し、経費を見直し、今後数年間の計画を練り直し、思い切って規模を縮小して強い経営体制を構築するという選択肢もあったと思います。

ところが、資金が潤沢になると、どうしても拡大を目指したくなってしまうタイプで、その状況で例えば従業員を減らし、事務所を移転して縮小し、経営基盤を強化するという事は出来ませんでした。

最終的には事務所経費や従業員コストなどがその後、大きく経営を圧迫していく事になったのですが、特に事務所の家賃負担が大きかったのですが、事務所移転となると資金が潤沢でないとなかなか出来ず、あのタイミングが最後のチャンスだったのかなと振り返って思います。

あくまで私の失敗例ですが、今、コロナ対策で色々な融資や制度の恩恵を受けれる状況にあり、それら制度の活用によって、延命、または回復出来る可能性が大きくなった社長様には、私のようにはなって欲しくはありませんので、今一度、今回のコロナ対策で得た恩恵をどう活用し、どう利用して、1年後、2年後に回復させていくかという対策を練って頂ければと思います。

借りた分は確実に返済が始まりますし、また、今は社会保険なども1年間猶予される制度もあるそうですが、これもその後に払わなければいけないものですので、これら増える負担をカバーできるほどに、今まで以上に利益を出せるようになればいいですが、今までの規模まで戻すだけでは、その分の負担をカバーする事はできないので。別のところでその分の負担を補うコスト削減が必要になってくるという事ですかね。ま、ごくごく当たり前の事で、経営していれば分かり切った事、今さら書く必要もないのかもしれませんが、分かっていても当時の私には出来なかったので書きました。

なかなか大変な状況ではありますが、今、コロナ対策制度で延命している会社が、1年後、2年後に破綻しないよう、頑張って欲しいと思います。

ご拝読、有難うございました。

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