倒産経験社長の実体験ブログ

経営していた会社が20☓☓年に経営破綻。負債3億円以上で会社は破算で個人も自己破算、そんな倒産を体験した元社長による実話ブログです。倒産前から弁護士介入、裁判、免責許可までの手続きの実体験、流れや出来事、生活の様子などなどを綴ってます。

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銀行に見捨てられる時

会社が倒産、連帯保証人である社長、私自身も自己破産、そんな倒産経験を持つ元社長の実体験、そしてその後の人生について語っているブログです。お越し頂き有難うございます。

中小企業と銀行融資

無借金経営が出来るに越したことはありませんね。私自身も、自己資金で独立してからは、しばらく銀行融資もなく経営していました。しばらくと言っても、3年、4年ほどでしょうかね。まー、小さな小さな会社でしたので、銀行からの融資自体、全く考えた事もなく、あてにした事もなく、もちろん銀行の営業マンが会社に来ることもなく。銀行は単にお金を預けておく場所、といった感じでした。

ところがいつの日か、地元の信用金庫の営業マンが訪ねて来ました。積立てやってほしいやら、定期預金いかがですやら、そんな話からスタートしました。まだ売上1億も行かない頃です。

しばらくして、その営業マンから「社長、お金借りてもらえませんか?」みたいな話がありました。決算書なんかは出してあったので、今まだ借入もなく無借金経営、収支はずっと黒字、保証協会も利用した事もなく、是非是非と勧められるようになりました。今思えば、銀行からすればまーおいしい会社ですよね。保証協会使えばリスクもほとんどなく、審査も問題ないし。

ちなみに当時の月商は500万程度、粗利が200万程、固定費は家賃もろもろ40万ぐらいと人件費3人分で社保なども含めて100万ぐらい、残った分で自分の給与と余った分が少しずつ増えていく感じですかね。まー、小さいながら安定

そこに「とりあえず1,000万ほどいかがですか?」と悪魔の誘い。特に必要もないけど、あればあったで事業も拡大していけるしで申し込みしたのが最初の融資でした。まー、融資のきっかけなんて、みなさんもこんな感じですかね?

資金と売上

さて、資金が増えると事業規模も拡大しやすくなり、新規事業もスタートさせ、最初の融資から2年後には売上1億突破、翌年2億、翌年4億弱みたいに一気に増えてったんですが、売上が増えると毎月扱う資金量も比例して増えていくので、売上を上昇させていくのに比例して借入も増えていく訳ですね。今、思えばですが、売上2億、3億ぐらいで止めておけば、その頃が一番儲かってたのかな?って思いますね。

売上が7億円ぐらいになるころには、借入も1億以上になり、毎月の出ていくお金、入ってくるお金も過去とはケタ違いに増えて行きました。借入規模も増えてくると、もはや過去には戻れない感じですね。毎月の返済額もそこそこになるので、会社の拡大路線を止めれない感じです。

あのころ、ぐっと抑え、一旦、借入規模を縮小、無借金に戻す道を選んでいたらとは思います。売上も増え、利益も増え、順調な時、返済重視で会社自体を健全化する選択ですね。2-3年あれば出来た気がします、無借金に限りなく近づける道。でもね、上を目指しちゃうんですよね。今、もしも過去に戻れるなら、あの頃に戻ってって思いますね。

ですが現実としては、あの時はもう調子よかったので、どんどん借入も増やして、資金を増やし、そして売上も増えて行き10億超える頃には、借入も3億近くになってました。もう、今思えば走りすぎちゃった感じですよね。銀行は次から次へとやってくるし、プロパー融資もメガバンクだと5,000万とか普通に出してくれちゃうんです。売上の3か月分ぐらいが目安だったと思いますが、銀行同士の融資競争みたいな感じですかね。調子がいい企業への銀行の詰め寄り方は凄いですよね。

融資が止まる時

私の場合、東日本大震災の影響が強かったのですが、もちろん他にも要因はありますが、震災のあった年に売上が一旦ダウンしたんです。10億から7億ぐらいまで。でも、収支ベースでは黒字は確保してました。創業以来ずっと黒字です。

ただし、創業以来ずっと増え続けていた売上が初めてダウンしたんですね。そうすると、何が起こるかと言いますと、借入比率が一気に増えちゃったんです。売上に対する借入の割合い。例えば売上10億で借入2億ですと20%、月商の2.4か月分。これが売上7億になってしまうと7億に対しての2億ですので約30%、月商の3.5か月分。

この頃は、片手以上の銀行、お国系から、メガバンク、信金、都銀などと取引きしていましたが、まーどこの銀行も似たような基準があるのでしょう。これまで借り換え融資のセールに必死だった営業マンが、足並みをそろえて追加融資、借り換え融資の話が出なくなりました。逆に、一度下がってしまった売上の原因分析、説明、今後の回復の見込みなど、細かく聞いてくる銀行も増えてきましたね。

実際、その翌年にはすぐに9億弱まで回復したのですが、一度慎重になっていまうと、警戒するんでしょうかね。なにせ、創業以来、止まることなく増え続けていた売上がダウン、営業利益も最小限、決算書上のいろいろな数字も宜しくないと判断されていったのでしょう。

さすがに貸しはがし(強引に返済を迫る事)はありませんでしたが、新たな融資が消極的になってくると、今まで回っていた資金が徐々にショートしてきます。毎月の返済もそこそこありましたので、返済分のキャッシュフローは確実に減り、一方で、ある程度追加融資で補充しておくことも出来ず、苦しくなっていきました。

銀行頼りのリスク

結局のところ、銀行のおかげで事業は拡大、最後は銀行に見放されて資金ショート。もちろん銀行のせいではなく自身の経営のせいです。が、教訓として言える事は、銀行融資に頼らない経営をしないと、自分自身ではどうにも出来なくなるって事ですかね。

内部留保を増やし、自分自身の資産も年数をかけて増やしていき、1年、2年、新規融資、追加融資がなくても大丈夫なぐらいの財務体制を目指すとか?少なくとも1-2年分の返済総額ぐらいの資金は確保しておくとか?あとは、一気に借入を増やさない、売上が増えても純増資金で増やしていくようにしないと、売上が止まった時に地獄が待っているという事になります。

と、そこそこの規模になったら、やっぱり「財務担当者」、信頼できる人、銀行出身だったり、そういう人に中に入ってもらって、財務をがっつり見てもらう。遠慮なく社長に意見出来るような人が理想ですが、社長の走る勢いを調整できるような人ですかね、そんな人材が社内にいれば理想です。または外部でも財務コンサル的な人だったり。

将来的な上場のお誘いだったり、投資会社からの出資とか、そんな話もあったのですが、その時にデューデリ的な、内部監査的な、しばらくそういう人を入れて財務管理、キッチリ準備、土台固めとかっていう話も頂いたのですが、そこ、とても大事だったんだなと、今思えばですが、そう思いました。

売上規模だったり、会社のステージだったりにもよりますが、その段階に合ったやり方、財務、これが大事なんだと思いました。売上を上げていき、利益を作っていくだけでは、会社はダメなんだなと。その受け皿となる財務体制、土台をしっかり作っていかないと、何かあった時に意外にもろく崩れてしまうんだなと、それが倒産経験社長から言える一番大事な事かなと思いました。

実は、倒産後に就職した同じような規模の会社があったのですが、売上も好調で、ポジション的にも結構上の立場で入ったので、こういった話も社長へアドバイスしていました。で、色々あってその会社から別の会社へ引き抜かれて退社したのですが、今、私の以前の会社と同じようになっているらしいです。退職時に、財務の重要性は強く話していたのですが、やっぱり強く言う人がいないと、社長だけでは勢いのまま走っちゃうんですよね。無事、立ち直ればいですが・・・

会社の拡大と借入、銀行、財務、ここは本当に大事だと思います。調子がいい時こそ、予算も取れますし、しっかり基盤、土台を固めるチャンスですので、1年、2年だけ立ち止まって強い土台をつくる事がお勧めであり、そうしておけば良かったなーと一番強く思っている、後悔している事でした。長い経営人生、1年、2年の足踏みぐらいいいじゃないですかね!現役社長の方は頑張ってください!

ご拝読、有難うございました。

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