倒産前の鬱
会社を経営してきて行き詰ってくると、鬱になるな!という方が無理なぐらい憂鬱な日々が続きます。これはまず、ごくごく当たり前の事で、自分にだけ起こる事ではないですので、鬱になる事を恐れてはいけないと思います。逆に、鬱にならない方がおかしいぐらいな感覚で良いと思います。
幸いにも、私は鬱になる事はありませんでした。周りに恵まれていたのか?弁護士先生が親身に対応してくれたおかげでもあると思います。鬱になりそうなぐらい色々な出来事がありましたが、家族を守らなきゃ、無事に会社を綺麗に清算し、これからの人生の道を作らなきゃ、という思いの方が強かったのかもしれません。
私は心理学者ではありませんので、専門的な事は詳しく分かりませんが、私が体験した倒産経験から「鬱にならない為には」について書いてみたいと思います。
倒産前の鬱の原因
経験上、倒産前の鬱の原因は主に3つ考えられます。
1)債権者対応の辛さ
2)倒産という未知の経験への不安
3)将来の不安
ブログから問い合わせを頂く事も多いのですが、多いのは「どうすればいいか?」「倒産で何が起こるのか?」「倒産後の生活はどうすればいいのか?」主に、この辺りのお問合せをよく頂きます。
長く会社を経営してきて、築き上げてきたものが無くなる事への不安、悲しさ、残念さもありますが、やはり現実的に今から自分の身に起こる事への不安が大きいと思います。
上記、3つの鬱の原因と対策をそれぞれ考えてみたいと思います。
1債権者対応の辛さ
現実的に目の前に迫っている事は、倒産前に債務不履行になって、各取引先への支払いが出来なくなり、催促や取り立てや、そういったリアルに起こる辛い事が原因になると思います。
実際、お金が払えなくなると、取引先からは「まだ入金ないですが?」とか、連絡が来ることになります。「ちょっと支払い待ってもらえますか?」とか、こういった対応をするだけでもしんどいですね。経理担当がいれば担当窓口で対応させるでしょうが、中小企業であればすぐに「社長と話をさせろ」とかになると思いますので、お金が払えない事を謝る日々が続く事になります。
銀行であればリスケの相談をしたり、銀行側も慣れているので、しっかり相談すれば対応してくれますが、一般取引先に関しては、相手は死にもの狂いでお金を取りにきますので、なかなか大変です。経験上、大手よりも中小零細企業の方が激しかったですね。
実際私もだいぶ辛い思いをしました。私の場合、債務不履行になってから、弁護士介入までに確か3カ月ぐらいありましたので、その間、債権者とのやり取りがほぼ毎日続いてました。
これら対応から鬱にならないためには、個人的な経験ですが、逃げない事が一番と思います。例えば電話に出ない、居留守を使う、雲隠れする、となると、相手は当然もう回収できないかもしれないと思い、さらにエスカレートしてくると思います。
私の場合、電話が来たら全て出てました。出れなくてもすぐに折り返し電話。連絡を取ろうと思えばいつでも取れるという状態を常に作っておく事で、債権者へ真摯に対応し、いつでも連絡が取れる事で過度な取り立てを防ぐことが出来ました。
確かに、電話に毎回出る事は大変ですが、毎回毎回出ていると、相手も言う事が無くなってきます。答えも同じような答えになってきます。10社、20社あっても、どこも同じような電話の内容になります。1カ月、2カ月と、毎日電話してくる会社がありましたが「会社から毎日1回は電話しろと言われてる」と話していました。2カ月ぐらい経つと、相手の担当者もさすがに話す事もなくなり、逆にお互い毎日話しているので親しくすらなってきます。
とにかく、逃げない事が一番の解決策と思います。また、どうしても無理であれば、早々に弁護士介入してもらう方法もあります。弁護士介入した瞬間に、債権者からの連絡は一切なくなり、連絡があっても出ちゃダメと弁護士に言われますので、取り立て、催促からは一瞬で開放されます。
以下、1年前に書いた鬱についてのブログですので、こちらも参考に宜しければどうぞ。
2倒産という未知の経験への不安
これは結構、個人的には大きかったです。支払い止めたらどうなるのか?倒産したらどうなるのか?何が起こるのか?もう全然分からなかったです。
当然、当時はネットで色々調べましたが、倒産体験を書いているようなブログもほとんどなく、弁護士がホームページで解説しているページは良く見かけましたが、でもそれって完全に弁護士目線の内容で、当事者目線では書いてないんですよね。当たり前ですが。なので不安解消するには全然無意味な感じでした。
そんなかんだで、これから倒産しそうな人のために、このブログを解説したという経緯なのですが、とにかく倒産過程で起こる様々な事、1つ1つがやはり不安でしたので、これら不安を取り除く方法としては、これから何が起こるのかを予めある程度知っておく事が、鬱を回避するための1つの方法と思います。
債権者集会ってどんな集会?債権者が沢山来るの?怒号が飛び交うの?とか、管財人ってどんな人?どう対応すればいいの?とか、書ききれないほど沢山あります。いちおう、覚えている限りの不安だったことは、1つ1つこのブログに「当事者目線で」書いて来ましたので、検索して該当ブログを読んで少しでも和らいで頂ければ幸いです。
何が起こるかを事前に把握しておく事、知識として頭に入れておく事で、必ずや不安は減ると思います。
3将来の不安
鬱の原因として最後に挙げるのは、やはり将来への不安と思います。倒産後の生活、どうなるのか?再就職できるのか?など。こちらのブログへのアクセス解析ページを見ると、倒産後の再就職関連のページへのアクセスが最も多いです。
倒産後の生活に関しては「倒産後の再就職」と「倒産後の生活」というカテゴリーを用意しておりますので、気になるブログ記事があれば是非ご覧ください。
再就職に関しては、景気にも左右されると思いますが、「元社長」「会社が倒産した元社長」という経歴は、思うほど影響はないとは思います。逆に興味を持ってくれる場合もありますので、自分のセールスポイントとして堂々と経歴書に書いて良いと思います。
1つ言えるのは、弁護士介入して破産手続きがある程度進んで来れば、債権者との接触もないですし、もう普通の生活が開始できるという事です。これまで辛かった資金繰り、支払い、取引先対応も完全に無くなり、今まで経営してきた会社の事は考えず、まずは再就職する事で、新しい人生を再スタートする事が出来ます。再就職活動が出来ないぐらいの鬱にさえならなければ大丈夫です。
債権者には申し訳ない話ですが、全力で経営してきて倒産してしまったのであれば、それはもう事実として受け入れるしかないのでしっかりと受け止めて、そして倒産は次の人生を再スタートさせるための手続き、再スタートするための準備期間と割り切るのが一番と思います。
具体的なご相談がある際は遠慮なくお問合せのリンクからお問合せ下さい。
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