倒産費用について
倒産にかかる費用については、GOOGLE等で検索すれば、多くの弁護士様のホームページで説明されておりますので、調べればある程度把握できると思います。
大きく分けて、裁判所に払う費用と弁護士に払う費用が必要になります。負債額や債権者数によって、数十万から数百万まで必要です。
ここでは倒産費用について、経営者目線で説明したいと思います。
何年も会社経営していれば、簡単に倒産なんて考えられない
あんまり最後まで頑張りすぎると、倒産にかかる費用も捻出できなくなりますので、ある程度の資金があるうちに決断しなければなりません。が、長く会社を経営していると、そんな決断が簡単に出来る訳もありません。従業員もいますし。。
「資金があるのに倒産なんて」これはなかなか弁護士さんにも、管財人さんにも分かってもらえないところですが、管財人さんは、あくまで結果的な状態(債務超過で、資金繰り悪化して、経営継続できなくなってしまった状態)しか見ないので、「この状態の前で決断すべきでしたね。なぜもっと早く弁護士へ相談しなかったのか?ずるずる先延ばししている間に資産隠してないですか?」など、言われてしまいかねません。
しかし経営している本人としては、何とか立て直して復活しようとしている訳で、なかなか簡単には決断できないのも現実です。
そして、資金繰りが悪化して銀行融資も断られ、月末の支払いが出来ない状態が見えてしまった時、真剣に倒産を考えるタイミングになります。この状態でも頑張ってしまい、最後の最後まで支払いもしてしまい、手元に現金が無くなってしまったら、本当に倒産も出来ず、破産も出来ず、免責も受けられなくなってしまいます。
最後に倒産費用を確保する方法は一つ
「月末などの支払いを止める」しかありません。
現在手持ちが500万、月末入金が1,000万、月末支払が1,500万だったとします。銀行融資も断られ、身内知人も断られ、あとは消費者金融、闇金に頼るしかない状態だったとします。
ここでも頑張って1,500万をキッチリ支払ってしまうと、完全に現金0円の状態になってしまいます。倒産費用も払えなくなります。
しかし、月末の支払いのうち、例えば500万が従業員の給与だった場合、給与はちゃんと支払い、それ以外の1,000万の支払を止めれば、1,000万円の現金が手元に残ります。この状態で倒産手続き、準備に入るのが理想です。
手元0円でも費用捻出も可能
上記例の通り1,000万円手元に残った状態が理想ですが、仮に月末に全部支払ってしまって0円になってしまっても、費用の捻出が可能なケースが多いです。「是非、当弁護士事務所に相談を」という宣伝がWEBで良く見かけますが、その通りです。
手持ち0円でも、来月末に入金予定(つまり売掛金)がまだ800万ある場合、弁護士介入後、その800万は弁護士が先方に請求してくれます。これは、相手は拒否する事が出来ませんので、確実に取り立て・・・いや、請求して回収してくれます。相手が払わなければ差し押さえぐらい出来るレベルだったと記憶しています。
そして、そこから弁護士費用、裁判所費用が捻出され、余った分から管財人費用が差し引かれ、さらには優先的に税金未納に使われて、そして最後に債権者へ分配されていきます。
売掛金以外にも、例えば不動産を持っていて、ローン残高より高い価値があれば換金できますし、社用車があれば売却で現金化出来ますし、保険など入っていれば解約返戻金などが充てられていく事になります。
いずれにしろ、早く弁護士さんへ相談する事をお勧め致します。支払を止める場合は、弁護士介入後であれば全て弁護士さんが窓口で対応してくれますが、介入前であれば全て自分で対応しなければいけません。
私は弁護士さんへ相談前に自ら支払いを止めたので、それはもう大変な日々が何カ月も続きました。いわゆる取り立てです。消費者金融、闇金には手を出していませんでしたので、大企業の上品な取り立てから、中小企業のえげつない取り立てまで、いや大企業でも結構やばい取り立てもありましたが、殺されるような危険はありませんでしたが、この辺りの話はまた別で書きたいと思います。かなりなボリューム、内容で参考になると思います。対応方法なども書きたいと思います。
倒産後の最後の目的
いざ倒産となってしまった場合、多くの債権者に迷惑をかける事となりますが、努力の結果であれば止む負えないとしか言いようがありません。債権者からすれば「とんでもない」事ですが、当事者としては全てやり尽した結果で、、、
そして、最後に目指すのは「免責」です。
「免責」とは、GOOGLEで調べると色々と説明が見つかりますが、簡単に言うと「債務が0になる事」です。つまり、銀行への返済も、債権者への買掛金の支払いも、全て免除される事で、借金が無くなる事となります。(当然ながら、中小企業経営者の場合は多くが銀行融資等の連帯保証人になっていますので、会社の倒産=破産と同時に、代表者自身も自己破産となります。更には自己破産手続きに伴い、ほぼ全ての資産は没収されて現金化され、債権者へと分配されます。なお債務超過でない場合は除きます。)
ただし例外としては、個人の税金などは免責を受けても残ったりします。
また、免責を受けれるかどうかは裁判官が判断します。実際には裁判官は管財人にほぼ調査を任せていますので、管財人の判断次第になってきます。管財人が絶対的な決定権があると言っていいかもしれませんね。例えば倒産の過程において不正や資産隠しがあった場合、最悪認められないケースも0%ではありませんので、不正はせずに弁護士の指示に従って手続きを進める事をお勧めいたします。もちろんそこにはグレーな部分、抜け道もあると思いますが、、、ノーコメントです。
免責が受けられないケースに関しては「免責不許可事由」で検索してみてください。